こんにちは!
フィンスイミングのスペシャリスト関野義秀です!
今回はフィンスイミングの試合で使用する競技用水着いわゆる
そもそもCMASって?
「
フィンスイミングの国内大会に出たことがある人は競技種目の名前で「CMASビーフィン」という単語も目にしたことがあるかと思います.
何気なく使っているこの「CMAS」についてほんの少し理解を深めておきましょう!
CMASは世界水中連盟のこと!
CMASは「世界水中連盟」のことで,英語では「World Underwater Federation」と訳されます.
でもこれじゃどう略しても「CMAS」にはならないですよね・・・?
そう,英語ではないんです!
CMASは1959年に設立されたイタリア・ローマに本部を置く水中活動に関する国際的なNGO機関で,現在はなんと世界中130以上の国や地域を代表する連盟で構成されており,まさに世界の水中活動の中心といえる組織です! "水中活動の国連"なんていう風にも言われています!
気になる「CMAS」はフランス語の「
CMASのロゴって・・・に,に,似てるよね・・・?
こちらがCMASのロゴで,フィンスイミングをやってると目にすることも多いのではないかと思います!
また,日本でのシェアはそこまで大きくないですが,ダイビングをやってる方ならCMASの名前を目にすることもあるかと思います!ダイビングの世界では世界のどこにいっても通用する一大組織です.
さて,このロゴ・・・似たようなロゴを街中でよく見かけたりしませんか・・?
それはそれは世界で最も有名であろうあのコーヒーショップ,そう,「〇〇〇バックス」のロゴに似ていますよね・・・!
「まさか・・・CMASさん・・・やった・・・のか・・・・?」
なんて,失礼な!
先ほどお伝えした通り,CMASができたのは1959年,「スター〇〇〇〇」ができたのは1971年ですので,CMASの方が圧倒的に古くからこのロゴを使っているんですね!
ちなみにさらに細かい知識として,CMASのロゴの女性はフランスの伝承に登場する水の精霊「メリュジーヌ」が原型といわれており,「スタ〇〇〇クス」のロゴの女性はギリシア神話に登場する海の怪物「セイレーン」からインスパイアされているのだそうです.
簡単に説明すると,「メリュジーヌ」は富や再生を生み出すシンボルとして扱われ,CMASでは2本の尾をそれぞれ「科学」と「スポーツ」として表現しているそうです.
「セイレーン」は航海士たちを引き付ける謎の魅力を持っていたとされ,世界中を航海して届くコーヒーでたくさんの人を惹きつけたいという思いがあるようですね.
スタバ(言っちゃった・・・)のロゴの歴史についてはこちらのスターバックスのサイトに詳しくまとめてありましたので,興味ある方はどうぞ・・・!
CMASの活動内容って?
余談のほうが面白かったりしますが,話を戻すと,先ほどから何度も出てきている「水中活動」ってなんだ?フィンスイミングはどこいった?と思っている方も多いと思います・・・
この「水中活動」とはまさに「水中での活動すべて」のことを指します.そのすべてが守備範囲なほど,CMASは大きな組織なんですね.
それでもCMASの具体的な活動でいうと,フィンスイミングなどの水中スポーツ,ダイビングや乗り物などのレジャー,水中科学などの研究などが挙げられます.
こういった幅広い活動はCMASの中の3つの委員会によって分担されています.
スポーツ委員会
スポーツ委員会は世界の水中スポーツを取り扱い,各競技を統括しています.
また,1986年には国際オリンピック委員会(IOC)へ加盟しており,その他の国際的なスポーツの権威ある数々の組織(国際スポーツ団体連合(GAISF)、IOC承認国際競技団体連合(ARISF),国際ワールドゲームズ協会(IWGA),国際大学スポーツ連盟(FISU)など)のメンバーでもあり,フィンスイミングやフリーダイビングをはじめ,水中スポーツは近年世界で益々飛躍していくことが予想されます!
<統括競技例>
フィンスイミング・フリーダイビング・スポーツダイビング・水中ホッケー・水中写真・水中オリエンテーリング・アクアスロン・水中ラグビー・スピアフィッシング・水中射撃
特にこのARISFに加盟している団体の競技種目はオリンピックの正式種目になる可能性を秘めているのです!
実際に,記憶に新しい東京2020オリンピックにて正式種目として採用された「野球・ソフトボール」,「空手」,「スポーツクライミング」,「スケートボード」,「サーフィン」も,ARISF加盟団体が統括している種目から組織委員会によって推薦されました.
次回2024年パリ大会はCMASの本部であるフランスでの開催なので,是非,正式種目に推薦してもらい,水中スポーツがオリンピック種目になって,より世界中にフィンが広まってくれるといいなぁと思います!!!
技術委員会
技術委員会はスクーバダイビングの世界基準や規則・法令の統一を検討するなど,世界中のダイバーたちに安全なダイビングを指導・啓発しています.
もちろんCカードの発行も行っており,世界的にも有名で権威あるライセンスと考えられます.
科学委員会
科学委員会では,海洋生物学,地質学,水中考古学など,水中環境に関する調査や研究,国際会議の開催を行っています.
また,水中環境や水中文化遺産の保護を目的にUNESCO(国連教育科学文化機関)とともに活動を行っており,1988年にUNESCOと「科学ダイバーマニュアル」の作成を完成させました.同年にはIUCN(国連自然保護連合)にも加盟し,海中や水中世界の環境保護・自然保護活動も行っています.
日本のフィンスイミングシーンとCMAS
とても簡単にではありますが,CMASについてほんの少しイメージが付いたのではないでしょうか?最後に,日本でフィンスイミングに関わっていると遭遇するCMASについてお話をしていきます!
日本におけるCMAS承認団体
CMASは先に挙げた3つの各委員会ごとに,各国1組織の加盟が認められています.日本では1985年に当時FEJAS(Federation Japonaise de ActivitesSubaquatiques:日本水中活動協会)という名であった,現在のJCIA(Japan CMAS Instructors Association)がスポーツ委員会,技術委員会,科学委員会の各組織の代表として加盟をしました.
その後,1988年に発足し,フィンスイミングを中心に国内における水中スポーツ部門をFEJASの承認を受けて担当していたJAFSA(Japan Fin Swimming Association:日本フィンスイミング協会)が,1988年にその活動実績が認められ,FEJASから日本における水中スポーツ部門の全権限を譲り受け,水中スポーツ委員会の日本代表機関として承認されました.
以上の経緯から,日本におけるフィンスイミングの統括団体(=CMASスポーツ委員会代表加盟組織)は,現在JAFSAから改変された「一般社団法人日本水中スポーツ連盟:JUSF(Japan Underwater Sports Federation)」となっております.技術委員会・科学委員会は変わらずJCIAが代表加盟しています.
・・・難しいですが,豆知識として整理しておきましたのでご参考までに・・・!
どの競技や種目も,連盟や協会などの統括団体が無ければ国際大会には出れないですし,資格や選手登録もできません.だからこそ,こうやって歴史をみてみると,より競技への理解も深まりますね!
フィンスイミングの競技会!
さて,様々な歴史がわかったところで,最後に現在の話をしたいと思います! CMASの説明をしてきたからこそ,理解しやすい部分もあります!
まず,フィンスイミングは2021年8月現在,オリンピック種目には入っていません.
しかし,今後採用される可能性もあるということは,前述のARISFのお話をした際にも感じてもらえたのではないかと思います!あえて「2021年8月現在」と記載しておいたことがいずれ良い判断だったとなるようにしたいですね・・・!
第2のオリンピック「ワールドゲームズ」
フィンスイミングは第二のオリンピックといわれる「ワールドゲームズ」の正式種目として採用されています.ワールドゲームズは簡単にいうと,オリンピック種目ではない種目たちのオリンピックみたいなイメージです・・・!(どちらの種目でもある競技もあります)
先にも出てきました,「国際ワールドゲームズ協会(IWGA)」が主催し,「国際オリンピック委員会(IOC)」の後援で,4年に一度,夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の翌年に開催されます.
次回は2022年7月にアメリカ・バーミングハム大会,2025年に中国・成都市大会が開催予定となっています.
今までワールドゲームズの種目から8競技がオリンピックの種目に採用されてきた実績があり,ARISF同様,東京2020オリンピックの追加競技種目となった5競技もすべてIWGA加盟競技でした!
このようにワールドゲームズはオリンピックと密接に関係しており,この点からも,フィンスイミングがさらに盛り上がっていくことで,オリンピック種目に採用される未来が訪れることでしょう!
真のチャンピオンを決める世界選手権・大陸別選手権
ワールドゲームズは4年に一度ですが,基本的に世界選手権は2年に一度行われます.水泳でいうと世界水泳,陸上でいうと世界陸上みたいな位置づけの大会です!
世界選手権というのは,その競技種目の大会の中で最高峰の大会なので,ある意味オリンピックやワールドゲームズよりもより専門性の高い世界チャンピオンを決める大会だなというイメージがあります.
「大陸別選手権」とは日本人でいうと,「アジア選手権」のことを指します.こちらも基本的には世界選手権と隔年で行われるのが一般的です.アジアでは中国や韓国,ベトナムがフィンスイミング強豪国といえるでしょう.日本もじわじわとアジアで活躍できるようになってきており,今後,アジアを代表する国となれるよう,期待しています!
ジュニアや学生,マスターズなど年代別の国際大会
サッカーでいう「A代表」いわゆる「正代表」が出場するのが前述の大会でした.
その他にも,17歳以下の区分である「ジュニア代表」,大学生・大学院生の区分である「学生代表」,29歳以上の各年齢別の区分の代表となる「マスターズ代表」という3つの区分もあります.それぞれの区分ごとの世界大会も開催されており,ジュニアに関してはアジア選手権も行われていて,正代表のアジア選手権のプログラムと同時に行われることが多いです.
年間のチャンピオンを決めるワールドカップ
「ワールドカップ」は年間を通して5大会行われ,5大会の総合成績でその年のチャンピオンが決まります.大会会場は世界各地を転戦するため,すべての大会に出場することは難しい選手も多いですが,逆に,年間を通して様々なタイミングで国際大会に出場できることは強化の面でも大きなメリットです.
「ワールドカップ」と聞くと,サッカーやラグビーのように,トーナメント形式で1期間だけ行われる世界最大級の大会なイメージがありますが,フィンスイミングのワールドカップは少し違う形態なのですね.
また,ワールドカップは国の代表ではなく,「所属クラブ」の代表として参加をすることになります.日本では,正代表が強化の一環のために日本チームとして出場したり,強化選手の国際大会経験の場として出場したりという参加実績が多いですね.
日本の国内大会 大会作ろうぜ!
あとは,国内の大会ですが,なんといっても毎年5月のゴールデンウィーク付近に行われる「日本選手権」が最も権威のある大きな大会であり,国内のフィンスイマーはここに向けて目標を立て,スケジュールを立て,トレーニングに励む人が圧倒的に多いのではないでしょうか.また,この日本選手権がその年の国際大会の日本代表選考会を兼ねていることが多く,国内のトップ選手が一堂に会する大会となっています.
その他には,大学生・大学院生が出場でき,学生代表の選考会となる「日本学生選手権」,マスターズの代表選考も兼ねることが多い「ジャパンオープンマスターズ大会」,秋ごろに開催される「短水路(25mプール)日本選手権」,連盟への選手登録をしなくても出場可能な「関東オープン大会」などがあります.
年間を通して連盟主催の国内大会の数が少ないため,なかなか日頃の成果を「大会」という場面で発揮できないことは,国内のフィンスイミング界の課題でもあり,早急に改善しなければいけないポイントだと思っております.
そのため,外部団体の大会にて,フィンスイミングを種目に追加してくださったり,ご協力くださっている方々もいらっしゃいます.これはフィンスイマーにとって非常にありがたいことで,こういった大会がもっと増え,水泳もフィンスイミングも同じように楽しめる環境がもっともっと増えていくといいなぁと思っています!
Fin-D Inc.でも,近い将来大会を作って,少しでも多くのフィンスイマーが日頃の努力の成果を発表する場を作れたらと思っていますので,大会開催にご協力くださる個人・法人・団体の方は,是非ともご協力いただければ幸いです!是非お問い合わせください!!
いかがでしたでしょうか?
今回はフィンスイミングの統括組織であるCMAS:世界水中スポーツ連盟について深堀りしてみました!私も改めて勉強しながらとなりましたが,うまく伝わりましたか?
東京2020のいろんな種目やアスリートを世界中のみんながテレビの前で応援したように,フィンスイミングがオリンピック種目になり,たくさんの人に見てもらえる日がくることを楽しみにしていましょう!
そして,そのためにも皆さんでフィンスイミングの魅力を発信しつつ,何よりも,とにかく私たちみんなで引き続きフィンを楽しんでいきましょう!
ありがとうございました!