第二のオリンピックと言われる『ワールドゲームズ』・・・!
4年に1度のビッグイベントは、2年後に中国・成都で開催されます!
そんなビッグイベントに出場するための選考プロセスがCMAS(世界水中連盟)より発表されたのでご紹介いたします。ワールドゲームズ出場を夢見る選手は、しっかり理解をして、目指していきましょう!
なお、前回大会は2022年に行われたアメリカ・バーミングハム大会。全レース映像のまとめは以下をご参照ください。
トピックス
実施種目一覧およびスケジュール
ワールドゲームズではフィンスイミングの全種目のレースが実施されるわけではありません。また、同じ種目でも男女で開催日が異なります。
具体的な実施種目とスケジュールは以下となっています。
大会1日目 | 大会2日目 |
---|---|
女子50mアプニア | 男子50mアプニア |
女子50mビーフィン | 男子50mビーフィン |
男子100mサーフィス | 女子100mサーフィス |
女子200mサーフィス | 男子200mサーフィス |
男子100mビーフィン | 女子100mビーフィン |
男子400mサーフィス | 女子400mサーフィス |
女子4×100mサーフィスリレー | 男子4×100mサーフィスリレー |
男子4×50mサーフィスリレー | 女子4×50mサーフィスリレー |
世界最高峰のフィンスイマーだけが選考対象!!
ワールドゲームズの選考は独特で、各国が参加選手を自由に決めることはできません。
手順としては、
①CMASのフィンスイミング委員会が対象選手を選考
②自国に①で選考された選手がいれば,各国が代表選手を決定する
という流れになります。
例えば、仮に日本でずば抜けて速い選手がいたとしても、CMASが定めるワールドゲームズ選考基準を満たしておらず、フィンスイミング委員会で選考されなければ、代表になることはできないということです。
また、その選考基準というものは非常にレベルが高く、ひとつの基準として言うと『世界選手権上位8位相当』という、世界のトップ選手でないと選考されることは難しいものとなっています。
これは、ワールドゲームズで実施される種目が限定されていることと、参加可能な選手数の上限が決まっているためであり、そう考えると、ワールドゲームズはオリンピックよりも出場するハードルが高い大会と言えるかもしれません・・・!
<イメージ....> アジア選手権・世界選手権 代表争い ⇒ 国内のトップ選手がライバル!! ワールドゲームズ 代表争い ⇒ 世界のトップ選手がライバル!!!!
2025年大会は選考方法が変わった?!
今まではワールドゲームズ開催年の前年に行われる世界選手権の結果だけをもとに選考がされていました。
そのため、対象となる世界選手権は、よりレベルが上がりやすく、ワールドゲームズ出場を目指す選手にとっては緊張感あふれる、非常に重要な大会となっていました。
今回発表された2025年成都大会の選考プロセスでは、世界選手権の結果だけではなく、2024年シーズン中の世界選手権およびワールドカップでの結果をもとにした世界ランキングが参考になることがわかりました。
これにより、従来であれば7月に行われる世界選手権での一発選考!!といったところでしたが、2024年は選考対象期間が最長でワールドカップファイナルラウンドが例年行われる10~11月頃まで持ち越されることになります。
そのため、ワールドゲームズを目指す選手は今後、ワールドカップ各大会および、特にゴールデンファイナルへの参加が増えるのではないかと予想されます。
また、例年ワールドカップは開催地がヨーロッパ中心となっているため、日本を含め、アジア勢には少々不利な選考ルールになったとも捉えられます。日本を含め、アジアでのワールドカップ開催頻度が上がることを期待したいですね。
選ばれし男子50名・女子50名のみ出場可能!!
先述の通り、ワールドゲームズは競技ごとに参加できる人数が決まっており、フィンスイミングは男子50名・女子50名の合計100名となっています。その他、役員やスタッフの数も決まっています。
人数制限があることにより、先述の選考方法はさらに複雑になっていて、こちらをきちんと理解できている方は日本にも世界にもあまりいないのでは・・・?と思いますので、解説いたします!
ワールドゲームズ選考基準解説!!
①とにかくリレー種目での出場者枠が第一優先
はじめにポイントとなるのは、男女それぞれ50名の枠のうち、まずはリレー種目の32名*が優先的に確定するということがCMASにより発表されています。
そのうちの4名は開催国枠として確定しているため、2025年ワールドゲームズ開催国である中国を除いた7カ国28名が世界選手権でリレーの出場枠を争うことになります。
*4名×8チーム=32名
また、ワールドゲームズのリレー種目は男女それぞれ4×100mリレーと4×50mリレーの2種目となっていますが、選考の対象となるのは、世界選手権の4×100mリレーの順位となっています。
来年より世界選手権に新設される4×50mリレーの順位は選考の対象とはならず、世界選手権の4×100mリレーの順位によって選考されたチームが4×50mリレーにも出場することになります。
②個人種目の選考基準はケースバイケース
続いて個人種目については、男・女各6種目全て決勝競技のみ行われるため、各種目8名のみの参加になります。
個人種目は2024年の世界ランキングに基づいて選出となるが・・・
個人種目の各8名は、シンプルに各種目の2024年世界ランキング上位8名となるわけでなく・・・
『男・女各50名という全体参加人数の制約』と
『リレーで選考された32名の参加が優先』
という規定により、いくつかのややこしい制約が生じます・・・。
モノフィン種目とビーフィン種目による違いとCMAS推薦枠
まず、上画像にまとめた通り、モノフィン種目(アプニア&サーフィス)とビーフィン種目によって選出基準が異なっています。ただし、世界選手権等と同様に、個人種目の出場者は、各種目1ヵ国2名まで(3名以上いた場合は、上位2名のみが選出対象)となります。
- モノフィン種目:各種目、世界ランキングの上位7名 *7 best swimmers for each event
- ビーフィン種目:世界ランキングを参考にした50m/100m同一の6名 *6 athletes for each event
個人種目への参加が優先されるリレー出場選手は、基本的にはモノフィン種目の選手が多いため、『世界ランキング上位に位置』しており、尚且つ『リレーに出場するモノフィン選手』は、リレー種目と個人種目のどちらにも出場する選手が多くなることが予想されます。
例えば、世界選手権で4×100mリレーを優勝し、個人種目の100mサーフィスでも世界ランキング3位になった選手がいたとすると、リレー枠32名のうちの1人として、『リレー2種目』と、個人の『100mサーフィス』への出場がほぼ確定します。
また、世界選手権の4×100mリレーは10位でしたが、個人種目の400mSFで世界ランキング1位になった選手がいたとすると、個人種目枠18名のうちの1人として、個人の『400mサーフィス』への出場がほぼ確定するといえます。
一方、ビーフィン種目の選手は、先述のリレー種目にはほぼ出場しないため、個人種目枠での選考となる選手がほとんどとなります。
また、ビーフィン種目に出場する選手は規定上、『50mビーフィン・100mビーフィン両方の種目に出場すること』となっており、どちらも同一の選手でレースが行われます。
なお、個人種目枠のうち、各種目最大1名ずつ(=合計6名)のCMASによる選考枠というものがあります。
・モノフィン種目(50mAP・100mSF・200mSF・400mSF)のCMAS選考枠での個人種目枠選考になる選手が最大4名
・ビーフィン種目(50mBF・100mBF)のCMAS選考枠での個人種目枠選考になる選手が最大2名*
*ただし原則として両選手とも50mBF・100mBF両種目へ参加
全体のバランスによって個人種目選考は大きく左右される…?
最後に、リレー枠の選考はわかりやすく、『世界選手権の上位7チーム+開催国枠』となっていましたが、個人種目枠の配分(どの種目に何名の「個人種目選考選手の枠」を振り分けるか)に関しては、『リレー種目枠で選考された選手が、各種目の世界ランキング上位にどれだけ入っているか』に大きく左右されます。
また、最終的にはそこの枠に関しては、CMASが検討して決定することとなります。
『どのようになると個人種目へ出場できる可能性が高まるか』、『全体のバランスによって個人種目の選考枠はどうなるのか』ということを以下の3パターンでまとめてみましたので、いろいろなパターンを想定してみてください。
4年に一度のビッグイベント『ワールドゲームズ』!
オリンピックと同じく、コロナの影響で1年のずれが生じたため、前回大会との間隔が3年となる次回大会ですが、新たな選考方法による世界のトップ選手たちの凌ぎ合いや、それまでに生まれるであろう新たなスター選手の活躍、そしてその中で活躍する日本人選手が誕生することを楽しみにしましょう!
また、おそらく次回大会以降も同じような選考方法となることが予想されますので、目指すべき方向性をしっかり理解し、オリンピック選手ならぬワールドゲームズ選手を目指して日々の練習を頑張りましょう!
フィンスイミング紹介動画 - YouTubeチャンネル「TheWorldGames」より